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教師の「燃え尽き症候群」

教師の「燃え尽き症候群」

記事執筆者:管理人

記事執筆日:2024年09月03日 14時07分

記事更新日:2024年09月03日 14時12分

閲覧数: 168

タグ:コラム



米国の教育現場で広がる教師の「燃え尽き症候群」


最近、米国で働く人たちの「バーンアウト(燃え尽き症候群)」という単語が日本の文化圏にも入ってくるようになりました。2024年8月29日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の有料記事を要約して紹介します。

米教師の「燃え尽き症候群」が拡大 - WSJ

WSJの報道によると、米国の教師たちは以下のような問題に直面しています:

1. 生徒の問題行動やメンタルヘルスの悪化
2. 低賃金
3. 授業以外の業務負担の増加
4. AIを使ったカンニングなどの新たな問題

これらの問題は、程度の差こそあれ、日本の教育現場でも見られる課題ではないでしょうか。特に、教師の業務負担の増加や生徒のメンタルヘルスの問題は、日本でもしばしば取り上げられるテーマです。

深刻な統計データ(米国)


記事では、次のような衝撃的な統計が紹介されています:

- 教師の42%しか仕事のストレスが「割に合う」と感じていない(2018年は70%以上)
- 複数の州で教師の離職率が過去最高を記録

深刻な統計データ(日本)

日本でも教師の長時間労働や精神的ストレスが問題視されています。
文部科学省の2016年度の調査によると、日本の公立小学校教員の1日当たりの平均勤務時間は11時間15分、中学校教員は11時間32分となっています。これは、OECD加盟国の中でも最長レベルです。
2020年度の文部科学省の調査では、精神疾患による病気休職者数は全国で5,180人(全教職員の0.57%)に上りました。この数字は、2010年度の5,407人をピークに減少傾向にありますが、依然として高い水準にあります。
教職の魅力低下も問題となっています。文部科学省の調査によると、2022年度の公立学校教員採用選考試験の受験者数は約11万人で、前年度比約1万人減少しました。これは10年連続の減少となります。


日米比較

  1. 労働時間:日本の教員の労働時間は米国よりも長い傾向にあります。
  2. メンタルヘルス:両国ともに教員のメンタルヘルスが問題となっていますが、日本では精神疾患による休職者数が具体的に把握されています。
  3. 教職の魅力:両国で教職の魅力低下が見られますが、日本では教員採用試験の受験者数の減少として顕著に表れています。
  4. 離職率:米国の方が日本よりも教員の離職率が高い傾向にあります。


「こんな待遇じゃ働けないよ」


教員のなり手不足には、賃金・労働環境の問題がありますが、日本社会の場合には一度本当に教員が足りなくなるというショック療法しかないのかもしれません。教員志望の大学生などが、あえて教員以外の仕事に就いてみて様子見をするのはどうでしょう。保育士や介護士などの抱える問題と同様ですが、業界に低賃金・悪い労働環境がはびこるのは、そんな状況でも働く人達がいることも原因のひとつと言わざるを得ません。「こんな待遇じゃ働けないよ」とみんなが素直に言うことではじめて、業界が変わるきっかけになると思います。一般企業でこのサイクルがまわるのに比べて、公教育というのは動きがとても遅いです。若い人たちも、長年教員をしてきたベテランも、他の職種に転職できるスキルを育てられないのも問題です。新人もベテランも、定時で帰る、無駄な仕事を洗い出す、などを徹底的に自分の責任で行って、スキルを身につける努力をするしかありません。普段から生徒たちに「努力と創意工夫をしましょう」と伝える職業なのだから、大人側も制度に頼らず個人でできることを模索し続ける必要があると思います。
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