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言語によって思考する

言語によって思考する

記事執筆者:管理人

記事執筆日:2023年12月21日 12時58分

記事更新日:2023年12月21日 13時06分

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タグ:言語学



人は、話す言語によって思考が変わる

日本土着の宗教である「神道(しんとう)」では、「八百万(やおよろず)の神」がいて、森には森の神様、火には火の神様などがいると信じられています。しまいにはトイレの神様という単語も、それほど拒絶されず浸透する社会です。ヨーロッパ方面に多い一神教ではなく、多神教の影響が日本社会では色濃く残り、人々は「個人」よりも「自然との調和」を最優先しています。
そして、「個人」という単語は少なくとも江戸時代くらいまでは日本語にありませんでした。「個人」という概念を意識しないが故に、言葉もありません。そして英語圏から「individual」という単語が入ってきたときに「個人」と翻訳し、日本人は神道的な無意識と言葉による意識の相反の間で苦しむようになりました。
そもそも「individual」は「in(不)divid(分ける)ual(〜な)」という意味であり、「これ以上分けられない」という意味の単語です。英語圏では、自然や物事を明確に分離し、最終的に人間はこれ以上分けられない単品の存在であるというふうに考えるのです。自然との調和を前提とする日本の思想にはない概念でした。

「肩こり」という言葉によって肩がこる

外国人の中には、肩こりを経験したことがないという人が多くいます。そして、日本に来て、周囲の人たちから「肩こり」という単語と意味を教えてもらうと、途端に肩こりを経験する、というのは有名な話です。日本文化には古くから「言霊(ことだま)」という概念があり、言葉を発するとそれが現実になる。そんな思想が無意識に根付いています。そして現代の言語学では近似的な概念が認められており、人は「言語によって思考する」というのが定説になっていると言っても過言ではありません。というのも、言霊という言葉を知らない外国人たちが、肩こりを経験しているからですね。

住所の記載と使役動詞

英語では住所を番地から書きますね。
「東京都品川区〇〇番」というような表記とは対象的に、「〇〇、△△ street,  OHIO(州), United States」というような順番です。英語ではスタート地点が自分、日本語ではスタート地点が「全体」です。
また、英語には「驚く」という単語がありません。すべて「驚かせる」という単語で表現します。
たとえ自分が驚く場合でも、それは自分以外の何かによって「驚かされる」のであって、「I was surprised (astonished)」などと表現します。
これらの特徴は、東洋的な思想とは対象的に、西洋の人々は「自分中心」であり、自分が自分以外のものにどう影響を与えるのかという無意識を表しています。そして、現代の言語学の定説では、「言語が思考をつくる」という順番です。自分中心的な言語によって、自分中心的な思考が生まれるわけです。

つまり

そういう意味で、わたしたちは外国語を学ぶとき、単に外国語を学んでいるわけではないということです。
新たな言語を習得するとき、それは新たな思考法を手に入れたといっても良いわけで、外国語学習の根本的な理由というのはそこにあるはずです。
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